MF大迫塁(左)、FW小林俊瑛(右)(写真=松尾祐希、徳丸篤史)
12月28日に開幕する第101回全国高校サッカー選手権。この冬の檜舞台でヒーローとなるのは誰か――。サッカー専門紙「エル・ゴラッソ」の協力の下、注目タレントをピックアップした。必見の計20人を4回に分けて紹介する。今回が最終回だ。
【16】MF大迫塁(神村学園/3年/セレッソ大阪内定)
高卒でドイツに渡る福田師王に注目が集まるが、有村圭一郎監督は「今年はアイツのチーム」と評する。今年の大迫塁がピッチ内外で見せる存在感は絶大だ。
持ち前の展開力に加え、高校に入ってからは攻守の切り替えなど守備意識も高くなった。主将を務める今季は、有村監督から「松木くんは結果も出しているぞ」と同じ左利きのボランチである松木玖生(FC東京)の名を出してハッパをかけられてきたことで、得点へのどん欲さも出てきた。今年のプレーを見れば、C大阪が早期獲得を決めたのも頷ける。
迎えた総体は大会直前にコンディションを崩し、初戦で実戦復帰。「体がまったく動かなかった。しんど過ぎて、試合のことはあまり覚えていない」。大黒柱が機能しなかったチームは、履正社(大阪)に0-2で完敗した。「泣かないほうが格好いい。たまに泣くからいいと思って、昨年から泣かないようにしていた」男は、人目をはばからず大粒の涙を流した。「大会にきていない3年生や保護者など、いろいろな人の気持ちが浮かんだ。情けないゲームだったので、悔しくて出た」。
高校サッカーに全身全霊を注ぎ、成長してきた男のラストステージに涙は似合わない。選手権こそは笑顔で終えるつもりだ。
(文=森田将義)
【17】FW小林俊瑛(大津/3年)
中学時代の小林俊瑛について、神奈川県の中体連選抜で一緒にプレーしたことがある松本国際(長野)の高城泰史はこう話す。「身長は高かったけど、そこまで目立つ選手ではなかった。日本代表に選ばれるまでの選手になるとは思わなかった」。
大津に入学した直後は、“大きいだけ”と言われがちな選手だったが、努力家である小林の成長は著しかった。それまでは競り合う必要がなかったヘディングを猛特訓。2年目からは格上との戦いが続く高校年代最高峰のプレミアリーグで工夫しながらプレーしたことで、「ポストプレーは入学したときより成長を感じるし、どんな相手でも背負えるようになってきた」。いまではほかの選手ならヘディングで対応する場面でも、胸で収めて味方につなぐプレーが十八番だ。
主将を務める今季は、メンタルでも成長の跡がうかがえる。
「あまり引っ張るタイプではなかったけど、国立の舞台などを自分が一番経験しているので引っ張らないといけない」
年々たくましさを増す小林が狙っているのは、昨年の選手権で記録した準優勝超えだ。先輩たちからは「絶対に全国制覇してくれ」と想いを託されている。高校3年間で一皮も二皮も剥けた小林なら、必ず期待に応えてくれるとみんなが信じている。
(文=森田将義)
【18】FW塩貝健人(國學院久我山/3年)
ようやく全国がその異才を目撃する。横浜FCジュニアユース時代は小柄なテクニシャン。「身体能力が課題」という周囲の声に奮起し、逆にそれを武器にしようと徹底的に筋トレを繰り返した結果、いまでは「フィジカルでは負けない自信があるし、一人でいけるのが自分の特長」と言い切るほど、鋼の肉体で相手をはじき飛ばすドリブルと驚異的な決定力を有するストライカーへと変貌を遂げた。
今予選でも総体準優勝校・帝京戦では2ゴールをマーク。彼がボールを持つたび、その期待感にスタジアムが揺れた。大会が終わったとき、この男が主役の座をさらっていても何の不思議もない。
(文=土屋雅史)
【19】FW山本吟侍(高川学園/2年)
憧れの選手に挙げるのは、「点が取れて周りも使える」リバプールのロベルト・フィルミーノ。風貌からは無骨なストライカー感が漂うが、本家同様できるプレーの幅は広い。中2まで務めたボランチで磨いた足元の技術とキック精度は一定以上。FW転向後は、どん欲にシュートを磨いてきた。
「バリエーションが豊富なのが持ち味」と自認するとおり、何をするか読めないため、相手にとってこれほど厄介な選手はいない。7月にはU-16日本代表候補に選出されるなど右肩上がりで挑む今大会は、昨年のベスト4超えを狙う高川学園のエースとして大暴れを誓っている。
(文=森田将義)
【20】DF藤井葉大(飯塚/2年)
高校サッカー界に彗星のごとく現れた将来性の高いDFだ。入学当初はサイドハーフやFWを務める攻撃的な選手だったが、高さと俊敏性を買われ、昨年末から左SBとしてプレー。すぐさま代表スタッフの目に留まり、3月にU-16日本代表の候補合宿に呼ばれると、10月にはU-17アジアカップ予選に挑むメンバーに選ばれた。
DFとしての経験は浅いが、対人に滅法強い。スピードを生かした守備対応と攻撃参加も目を見張り、海外の選手とマッチアップしても「守備と攻撃での迫力はほとんど通用した」と自信をのぞかせる。初の選手権でも大きなインパクトを残す可能性は高い。
(文=森田将義)
森田記者が推薦するMF長田叶羽(ガンバ大阪ユース、3年) 7月22日に開幕する夏のクラブユースチーム日本一を懸けた戦い、第48回日本クラブユースサッカー選手権(U-18)大会の注目プレーヤーを大特集!「クラセン注目の11傑」と題し、ユース年代を主に取材するライター各氏に紹介してもらいます。第1回は関西の高校生を中心に各カテゴリーを精力的に取材する森田将義記者による11名です。 森田記者「すでにトップチームに欠かせない戦力になりつつある広島ユースのMF中島洋太朗。6月の新潟戦でJ1デビューを果たした鹿島ユースのFW徳田誉。高3ながらもこの夏、海外に渡る熊本のFW道脇豊。今年はアカデミー出身の若い選手の飛躍が目を惹きますが、クラブユース選手権(U-18)には彼らに続く可能性を秘めた選手がまだまだ存在します。今回は夏の祭典を機にブレークを果たしてくれると期待し、見た試合でのインパクトが...

[4.14 プレミアリーグWEST第2節 静岡学園高 0-3 神戸U-18 時之栖スポーツセンター 時之栖Aグラウンド(人工芝)] 相手が素晴らしいチームなのはわかっている。間違いなく攻撃的に来るであろうことも、容易に想像が付く。だからこそ、自分たちも引くつもりなんて毛頭ない。アグレッシブに打ち合って、その上で勝ち切ってやる。クリムゾンレッドの若武者たちは、勇敢な決意をハッキリと携えていたのだ。 「本当にこのリーグは難しいリーグなので、正直勝ててホッとしています。それも『こういうサッカーをしようよ』ということを、自分たちがある程度しっかり出した上で結果も付いてきたので、そこが凄く喜ばしいかなと思っています」(神戸U-18・安部雄大監督)。 真っ向からぶつかって3発を叩き込み、2試合目で掴んだ初白星。14日、高円宮杯 JFA U-18サッカープレミアリーグ 2024 WEST第2...

[10.12 国体少年男子1回戦 東京都 1-1(PK4-2)鹿児島県 OSAKO YUYA stadium] 東京都が“決勝戦”と位置づけていた一戦を突破した。対戦した鹿児島県はともにU-16日本代表のMF福島和毅(神村学園高1年)やFW大石脩斗(鹿児島城西高1年)を擁し、地元国体のために準備してきた注目チーム。この日は、800人の観衆が地元チームを後押ししていた。 だが、石川創人監督(東京農大一高)が「僕らは『ここが決勝戦だ』と言ってチームを作ってきた」という東京都が、強敵を上回る。技術力の高い選手の多い鹿児島県に対し、MF仲山獅恩(東京Vユース、1年)とMF鈴木楓(FC東京U-18、1年)中心にコミュニケーションを取って準備してきた守備で対抗。相手にバックパスを選択させたり、奪い取る回数を増やしていく。 鹿児島県の巧さの前に迫力のあるショートカウンターへ持ち込む回数は少な...

※2023年10月12日時点 【高体連】▽帝京DF梅木怜(→FC今治)MF横山夢樹(→FC今治) ▽市立船橋FW郡司璃来(→清水エスパルス) ▽桐光学園MF齋藤俊輔(→水戸ホーリーホック) ▽興國MF國武勇斗(→奈良クラブ)MF宮原勇太(→グールニクザブジェ) ▽飯塚DF藤井葉大(→ファジアーノ岡山) ▽大津MF碇明日麻(→水戸ホーリーホック) ▽宮崎日大DF松下衣舞希(→横浜FC) ▽神村学園FW西丸道人(→ベガルタ仙台) ▽鹿児島城西MF芹生海翔(→藤枝MYFC) 【Jクラブユース】▽北海道コンサドーレ札幌U-18FW出間思努(→北海道コンサドーレ札幌) ▽モンテディオ山形ユースGK上林大誠(→モンテディオ山形)DF千葉虎士(→モンテディオ山形)▽浦和レッドダイヤモンズユースMF早川隼平(→浦和レッドダイヤモンズ)▽ジェフユナイテッド千葉U-18DF谷田壮志朗(→ジェフユナイテッド...

10番・長のゴールを称えるチームメイトたち。昌平は尚志を相手に逆転負けを喫した。写真:河野正 村松コーチが監督代行として指揮 埼玉・昌平高校サッカー部を全国屈指の強豪へ育て上げた藤島崇之監督が10月3日付で退任し、新体制に移行して最初の公式戦、高円宮杯JFA U-18プレミアリーグEASTが7日に行なわれ、昌平は尚志(福島)に1-2で逆転負けし、3連敗を喫した。村松明人コーチが監督代行として指揮を執った。 今季プレミアリーグに昇格したチーム同士の対戦。4-2-3-1の昌平は前半6分あたりからペースを握り出し、ボランチの土谷飛雅とトップ下の長準喜(ともに3年)を経由してリズミカルな攻撃を展開。13分、MF大谷湊斗(2年)が右から鋭く切れ込んでからの最終パスが尚志DFに当たり、そのこぼれ球を長が蹴り込んで先制した。 前節まで6試合連続無失点の尚志の堅陣をこじ開けたことで、昌平...

■代表決定日一覧 ▽北海道・東北北海道予選:11月12日青森県予選:11月5日岩手県予選:11月5日宮城県予選:11月5日秋田県予選:10月21日山形県予選:10月21日福島県予選:11月5日 ▽関東茨城県予選:11月12日栃木県予選:11月11日群馬県予選:11月12日埼玉県予選:11月14日千葉県予選:11月11日東京都A予選:11月11日東京都B予選:11月11日神奈川県予選:11月12日山梨県予選:11月11日 ▽北信越・東海長野県予選:11月11日新潟県予選:11月12日富山県予選:11月11日石川県予選:11月5日福井県予選:11月5日静岡県予選:11月11日愛知県予選:11月11日岐阜県予選:11月11日三重県予選:11月11日 ▽関西滋賀県予選:11月11日京都府予選:11月12日大阪府予選:11月11日兵庫県予選:11月12日奈良県予選:11月12日和歌山県...

※2023年10月5日時点 【高体連】▽帝京DF梅木怜(→FC今治)MF横山夢樹(→FC今治) ▽興國MF國武勇斗(→奈良クラブ)MF宮原勇太(→グールニクザブジェ) ▽飯塚DF藤井葉大(→ファジアーノ岡山) ▽大津MF碇明日麻(→水戸ホーリーホック) ▽宮崎日大DF松下衣舞希(→横浜FC) ▽神村学園FW西丸道人(→ベガルタ仙台) ▽鹿児島城西MF芹生海翔(→藤枝MYFC) 【Jクラブユース】▽北海道コンサドーレ札幌U-18FW出間思努(→北海道コンサドーレ札幌) ▽モンテディオ山形ユースGK上林大誠(→モンテディオ山形)DF千葉虎士(→モンテディオ山形)▽浦和レッドダイヤモンズユースMF早川隼平(→浦和レッドダイヤモンズ)▽ジェフユナイテッド千葉U-18DF谷田壮志朗(→ジェフユナイテッド千葉)▽FC東京U-18MF佐藤龍之介(→FC東京)GK小林将天(→FC東京)▽東京ヴェルディ...

高校サッカーの強豪、昌平高(埼玉)の藤島崇之監督が退任することが分かった。習志野高(千葉)、順天堂大出身の藤島監督は、07年に昌平の監督に就任。当時無名の私立校を短期間で3度のインターハイ3位、全国高校選手権8強、“高校年代最高峰のリーグ戦”プレミアリーグEAST昇格など、全国有数の強豪校へ成長させた。 判断力、技術力の質の高い選手たちが繰り出す攻撃的なサッカーが話題となり、また、12年に創設した育成組織、FC LAVIDAとの中高一貫6年指導によって、選手育成でも注目される高校に。現在、7年連続でJリーガーを輩出中で、U-22日本代表FW小見洋太(新潟)やU-17日本代表MF山口豪太(1年)ら多数の年代別日本代表選手も育てている。また、藤島監督は日本高校選抜やU-18日本代表のコーチも務めた。 昌平は近年、男子サッカー部の活躍に続く形で他の運動部も相次いで全国大会出場を果たしてい...

※2023年10月2日時点 【高体連】▽帝京DF梅木怜(→FC今治)MF横山夢樹(→FC今治) ▽興國MF國武勇斗(→奈良クラブ)MF宮原勇太(→グールニクザブジェ) ▽飯塚DF藤井葉大(→ファジアーノ岡山) ▽大津MF碇明日麻(→水戸ホーリーホック) ▽宮崎日大DF松下衣舞希(→横浜FC) ▽神村学園FW西丸道人(→ベガルタ仙台) ▽鹿児島城西MF芹生海翔(→藤枝MYFC) 【Jクラブユース】▽北海道コンサドーレ札幌U-18FW出間思努(→北海道コンサドーレ札幌) ▽モンテディオ山形ユースGK上林大誠(→モンテディオ山形)DF千葉虎士(→モンテディオ山形)▽浦和レッドダイヤモンズユースMF早川隼平(→浦和レッドダイヤモンズ)▽ジェフユナイテッド千葉U-18DF谷田壮志朗(→ジェフユナイテッド千葉)▽FC東京U-18MF佐藤龍之介(→FC東京)GK小林将天(→FC東京)▽湘南ベルマーレ...

鹿児島城西のMF芹生は、身体の使い方が上手く、パスセンスも高い司令塔だ。写真:松尾祐希 今年のチームは攻撃陣にタレントが揃う “半端ない”FW大迫勇也(神戸)を擁して選手権で準優勝を果たしてから15年。鹿児島城西が虎視眈々と復権の機会を狙っている。 鹿児島の高校サッカーと言えば――。2000年代の前半までMF遠藤保仁(磐田)やMF松井大輔(YS横浜)らを輩出した鹿児島実がその名を轟かせた。 近年は神村学園が躍進し、昨年度は福田師王(ボルシアMG)やMF大迫塁(C大阪)を擁してベスト4まで勝ち上がったのは記憶に新しい。インターハイは6年連続、冬の選手権も昨年度まで6年連続で出場しており、今季から2種年代最高峰のU-18プレミアリーグ高円宮杯に参戦するまでになっている。 一方で鹿児島城西は前述の通り、2008年度の選手権で日本一にあと一歩まで迫り、以降も神村学園と切磋琢磨し...



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