【選手権・注目タレント20選#2】"二刀流"の大魔王、”青森山田らしくない”10番、頭脳と力強さを兼ね備えるCB…
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FW森重陽介(左)、FW小湊絆(右)


12月28日に開幕する第101回全国高校サッカー選手権。この冬の檜舞台でヒーローとなるのは誰か――。サッカー専門紙「エル・ゴラッソ」の協力の下、注目タレントをピックアップした。必見の計20人を4回に分けて紹介する。今回で第2回目だ。


【6】FW森重陽介(日大藤沢/3年/清水エスパルス内定)

「この起用法が面白くなってきた」。佐藤輝勝監督は茶目っ気を込めつつ、笑った。

その「起用法」とは“二刀流”である。198cmの長身を攻めで使うか、守りで使うか。それが問題だ。

本人すら「次はどちらで出るか分からない」と語るように、たまに別の形で出るといった感じではない。練習でも双方をこなすし、CFとして先発しゴールを奪うと、後半途中からCBへスライドして守備を固める流れにも「もう慣れた」。高校サッカーはリードされたチームがロングボールやロングスローといったパワー系の攻撃を強める傾向が強いだけに、特にリードしてから守備固めで下がる形は実効性も高い。

CFとしては、単に高さがあるだけでなく足元の技術も備えており、ボールを収めてさばくプレーも巧みで、ゴール前では“怖さ”をしっかり出せるタイプ。意識しているというアーリング・ハーランドを彷彿とさせるパワフルなプレーも当然見せる。

一方、CBとしての魅力は「展開力には自信がある」と語るとおり、ロングフィードも大きな武器。カウンターの起点としても機能できる男が高空要塞として守備固めで下がってくるのは相手にとって恐怖でしかないだろう。これは逆も真で、日大藤沢がリードされた展開となれば、この大魔王が前線に上がってくるのだから恐ろしい。

(文=川端暁彦)


【7】FW小湊絆(青森山田/3年)

「自分なりの10番像」を追い求めた1年だった。なにしろ前任者は松木玖生(FC東京)。獲れる栄冠はすべて獲り尽くした大先輩のあとを受け、のしかかる重圧と向き合い続けることは容易であるはずがない。夏の総体は初戦敗退。ふがいない自分に悔し涙が止まらなかった。

だが、今年の10番に天から与えられた最大の才能は“軽やかさ” だ。颯爽とピッチを駆け、事もなげにゴールを奪えば、カメラを意識したセレブレーションも。いい意味で“山田らしくない”キャラクターが周囲に笑顔を連れてくる。「人と人とのつながりの中で、生まれた絆を大切にしてほしい」という意味でつけられた“絆=つな”の名を頂くストライカーが、彼らだけに許された全国連覇へ堂々と挑む。

(文=土屋雅史)

【8】MF金川羅彌(日章学園/3年/テゲバジャーロ宮崎内定)

小学生のころからナショナルトレセンに入り、早くから才能を買われていた逸材だ。日章学園出身の祖父と早稲田一男前監督が知人だった関係で中等部に進学し、中学校3年生のときに日本一を経験。高校入学後も昨季からピッチに立ち、パスセンスを武器に中盤の核として存在感を示してきた。今季は怖い選手を目指し、ミドルシュートでゴールを脅かす場面も増加。決定的な仕事を果たせる選手に変貌を遂げた。

「自分たちは全国大会に出るためにきたわけではない。全国で上位進出を果たすためにきた」。やり残した最後の大仕事をやり遂げ、プロの世界に足を踏み入れる。

(文=松尾祐希)


【9】DF津久井佳祐(昌平/3年/鹿島アントラーズ内定)

目に見えて屈強というわけではない。むしろどこか飄々としている。しかし、CBとして秘めている能力は、あふれんばかりのものがある。ピッチ全体を見渡し、瞬時に状況を把握できる“目”。相手の狙いを察知していることを裏づけるポジショニングのよさ。一瞬にしてその狙いどころを消してしまうカバー力。津久井佳祐は、いつも鮮やかにボールを奪い切る。

クレバーな男だが、球際の競り合いも激しい。体をねじ込み、ハンドオフで相手を封じながらボールを奪ったり、戻りながらシュートコースに足を入れたり、頭脳と力強さを兼ね備えている。

卒業後は鹿島入りが決まっている。屈強なタイプのCBが多い鹿島において、「より柔軟性をもった選手」とスカウトも評するなど、次世代のCBとしての期待も高い。

(文=安藤隆人)


【10】MF北村一真(国見/3年)

かつて大久保嘉人ら多くの名手が背負ってきた“国見の10番”を背負って攻守の舵取り役となる。

スキルの高さを生かして後方での組み立て役を担いつつ、トップ下からさらに前方まで進出してゴールにも絡む。今季は「ゴールに向かうプレー」を特に意識しているというが、その成果は確実に出ている。また自信がなかったというプレースキックも、猛練習を重ねて「味をしめました」と笑って言うほどの精度を獲得。もはやチームの貴重な武器である。

木藤健太監督からも「努力家」として名前が挙がるこの姿勢こそ、北村一真最大の武器。選手権の舞台でも、もう一皮むけた姿が見られるはずだ。

(文=川端暁彦)

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