復活の夏に重ねる白星。「堅い」国見がPK戦で矢板中央を下し、04年以来の準決勝進出
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[8.2 インハイ準々決勝 矢板中央高 0-0(PK2-3)国見高 カムイの杜公園多目的運動広場B]

 

 堅守・国見が19年ぶりの準決勝進出! 令和5年度全国高校総体(インターハイ)「翔び立て若き翼 北海道総体 2023」男子サッカー競技は2日、準々決勝を行った。唯一2年連続8強の矢板中央高(栃木)と、13年ぶりの出場で6度目の優勝を狙う国見高(長崎)との一戦は0-0で前後半を終了。国見がPK戦を3-2で制し、04年大会以来19年ぶりの準決勝進出を決めた。国見は3日の準決勝で桐光学園高(神奈川1)と戦う。

 

 思い通りの戦いができた訳では無い。国見の木藤健太監督は、「ボールは持ちたいけれど相手もいることなので全てできるわけではないですし、勝って行くチームは堅いチームだと思う」と語る。今年のチームは、常に2点、3点を取れるような攻撃力のあるチームでは無いかもしれない。それでも、「堅い」国見が、セットプレーを含めた矢板中央のパワフルな攻撃を跳ね返して4試合連続無失点。PK戦を制して4強入りを果たした。

 

 同じく堅さを特長とする矢板中央との戦いは0-0のまま進んだ。前半、国見の公式記録上のシュート数はゼロ。最前線から一気にボールを奪いに来る矢板中央をCB平田大耀主将(3年)が剥がし、また正確なパス交換で攻略する。だが、中盤から先の局面では相手の堅守をこじ開けることができない。

 

 10番FW中山葵(3年)の抜け出しやコンビネーションでの仕掛けにチャレンジするものの、矢板中央はCB梶谷皇光斗(3年)とCB清水陽(2年)が鉄壁のディフェンス。潜り込もうとする相手からボールを奪い取り、すぐさまロングボールで相手陣内に攻め込んだ。

 

 矢板中央はMF井上拓実主将(3年)がワンツーからPAへ切り込んだほか、相手のミスを誘発してショートカウンターへ持ち込むシーンも。セカンドボールの攻防で優位に立っていた矢板中央がゴールへ迫る回数を増やしたが、国見はDF中浦優太(3年)、平田の両CB中心に落ち着いて対応する。

 

 右SB松永大輝(3年)、台頭中の左SB古川聖來(2年)含めて、前へ出る、カバーリングのポジションを取るの判断が的確。また、木藤監督が「前の守備の意識が変わってきましたね。(全国レベルでは)サボったらやられるぞと。良い守備から攻撃に繋げられて今まで勝ち上がりができているかなと思います」と評したように、チーム全体の守備意識の高さ、対応力の向上が無失点と進撃に繋がっているようだ。

 

 後半は互いに重心が前へ。矢板中央はロングスローで相手にプレッシャーをかけたほか、交代出場のFW堀内凰希(2年)の鋭いドリブルなどで前進する。そして、ミドルシュートなどに持ち込んでいた。国見も良い形でボールを奪う回数が増えてハイサイドまでボールを運ぶが、なかなかシュートに結びつけることができない。

 

 優勢に試合を進める矢板中央は35分、右サイドからのクロスがゴール方向へ向かったが、国見GK松本優星(2年)がポストに身体をぶつけながらも処理。矢板中央は、直後の右CKがファーサイドへ抜け、これを清水が左足で狙う。この試合最大の決定機だったものの、国見GK松本に身体全体で阻止されてしまう。矢板中央の高橋健二監督は「あれだけセットプレーがあって、取り切れなかったところが大きかった」。国見もこのあと、相手の背後を突いてMF坂東匠(3年)が右足シュートを放ったものの、得点は奪えず、0-0でPK戦へ突入した。

 

 強風の中でスタートしたPK戦は両校の1人目がともに失敗する波乱の幕開け。後攻・矢板中央が3人目も外したのに対し、国見は坂東匠、中山、MF山崎夢麓(3年)が決めてリードを奪う。決めれば勝利の決まる5人目、国見の守りの要・中浦の右足シュートを「下で弱かったので、PK跳ぶ技術もシュートストップも変わらない。その技術を出して止めたという感じです」という矢板中央GK大渕咲人(3年)が右へ跳んでストップする。だが、直後に矢板中央を引っ張ってきた井上のシュートが左ポストをヒット。この瞬間、国見の準々決勝突破が決まった。

 

 国見は昨年度の選手権に12年ぶりとなる出場を果たし、ベスト16。OBで元Jリーガーの木藤監督は、「自分がやるようになって、なかなか県で勝てないというところから全国に出れるようになったのが去年の選手権で、やっぱり16じゃインパクト無いなというのが自分の中でもあって、もっと上を目指すためには何が必要かというのを新チームになって考えて来た中で4つ、ファイナルに残る。そこが大きなインパクトを残せるんじゃないかな、それがこれからの国見には必要なことだと思っていた」。その目標にチャレンジし、全国ベスト4まで勝ち上がった。

 

 ボールを大事に、試合の中で自分たちが優位なところを探すなど「新しい国見」の戦い方と伝統の粘り強さで進撃。やるべきことをコツコツとやってきた成果が出ている。勝利の瞬間、木藤監督は「(真っ先に思ったのは、)『次』でしたね。どうコンディション、リカバリーをして何とか明日の試合に持っていかせようという。あとは選手の様子を見ていました」。目に映ったのは選手たちの喜ぶ姿。この後、さらに1回、2回とその姿を見るチャンスがある。平田は「国見と言ったら優勝を目指すチームなので、しっかり僕たちが次も勝って、決勝も勝って、優勝目指して頑張りたい」。13年ぶりの出場で白星を重ねる「新しい国見」が、次は決勝進出の権利を勝ち取る。

 

(取材・文 吉田太郎)

 

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