「去年だけ強かったとは絶対に言われたくない」。新人戦の敗退を糧に、岡山学芸館が県タイトル奪還
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[6.11 インターハイ岡山県予選決勝 岡山学芸館高 2-0 作陽学園高 美作ラグビー・サッカー場]

 

 令和5年度全国高校総体(インターハイ)「翔び立て若き翼 北海道総体 2023」男子サッカー競技岡山県予選決勝が11日に行われ、岡山学芸館高が3連覇を達成した。決勝で作陽学園高と対戦した岡山学芸館は2-0で勝利。初の日本一に輝いた選手権に続く、全国大会出場を決めている。

 

“おんぶに抱っこ”と言われていた世代が自立。全国切符を「絶対に獲る」とこだわってインターハイ予選に臨み、県タイトルを奪還した。選手権決勝経験者5人を残す岡山学芸館だが、2月の県新人戦では怪我人などが出た影響もあって4位に。2年連続県内3冠が途切れただけでなく、2011年以降先輩たちが繋いできた中国新人大会への出場権も失った。

 

 現3年生は入学後、先輩たちが勝つ姿しか見ていなかった。2年間、岡山県内で勝ち続け、2年連続でインターハイ8強、そして、選手権で日本一。U-17日本高校選抜候補GK平塚仁(3年)は「良い景色しか見れていなかった状態で新人戦に挑んで、足元を救われてという状態だったので、このインターハイは絶対に負けられないと思っていました」。今大会、玉野光南高との準決勝では後半ラストプレーのゴールで追いつき、PK戦で勝利。先輩たちに頼ってばかりだった世代は、逞しく勝ち切ると、決勝もほぼ隙を見せずに宿敵・作陽を上回った。

 

 岡山学芸館は10番MF田口裕真主将(3年)が果敢な仕掛けを連発するなど立ち上がりからアグレッシブな戦い。前半5分には、左SB持永イザキ(3年)の左ロングスローのこぼれをMF植野柊(2年)が右足ダイレクトで叩く。これがDFに当たってゴールイン。今大会前にBチームから抜擢された2年生ボランチのゴールで岡山学芸館が先制した。

 

 作陽は直後に1年生MF入江修生のスルーパスから、FW小林蒼汰(3年)がフィニッシュ。この後は、互いに敵陣へ押し込むことを狙い、シンプルなロングボールの増える展開となった。

 

 この日、岡山学芸館はMF岡野錠司(2年)が攻守両面で貢献度の高い動き。植野との2年生ボランチコンビが運動量を増やし、DF陣も大きな穴を作らずに守り続ける。そして、攻撃面では最前線のFW太田修次郎(2年)やハイサイドへボールを入れてスローインを獲得。持永のロングスローから田口がヘディングシュートを放ったほか、3人、4人がパス交換に係わる形で幾度かスピーディーな攻撃も見せていた。

 

 一方の作陽は前半終盤にリズム。10番MF高峻士朗主将(3年)やMF吉田央(2年)がセカンドボールを拾い、高い位置からの崩しに持ち込んだ。そして、高が右足ミドルを打ち込む。

 

 後半立ち上がりは岡山学芸館が田口の左足ミドルやデザインされたセットプレーでゴールに迫る。作陽はGK酒井陽(3年)が好セーブを見せたほか、「ディフェンスのところはだいぶ理解してポジションを取るようになったりとか、立ち位置変えられるように意識はついてきた」(酒井貴政監督)という部分を発揮していた。

 

 一方、岡山学芸館の高原良明監督も「とにかくみんなで連動した守備をというところから入りました。最後まで身体を張ってしっかり頑張ってくれたと思います」とディフェンス面を評価。互いに狙いとする守備を表現する中、再びロングスローが得点を生み出した。

 

 後半16分、岡山学芸館は持永が左サイドからライナー性のロングスロー。ニアにパワーを持って走り込んだ田口が頭でゴールネットへ突き刺した。高原監督が「能力高いんですよ。スピードもあるし、プリンスなんかではゴラッソを決めている。(ロングスローは)このインターハイになって異常に距離が伸びたと思います」という持永のロングスローが2つめのゴールにも繋がった。

 

 作陽は苦しい時間帯でも突破力を見せていたFW信田大空(3年)や、いずれも交代出場のFW足立琥来(3年)とMF井手竣介(3年)へボールを繋ぎ、ラストパスやシュートに持ち込んでいた。だが、慌てて攻めてしまうシーンも多く、安定したプレーを続けるGK平塚ら岡山学芸舘の守りを攻略することができない。作陽の酒井監督は「相手のやりたいことを消すことはできたけれど、自分たちのやりたいことで点は取れなかった」。岡山学芸館が県新人戦準決勝で敗れた作陽に2-0で勝利。タイトルを奪還した。

 

 岡山学芸館の高原監督は「新人戦で負けたことが良かったんじゃないかなと。今思えば、本当に良かったと思います。(先輩に頼り切っていたところから、)やっと自分たちのチームでオレらがやらないと、というのが3年生に少しずつ出てきたかなと」という。また、田口は「一人ひとりの自覚や責任感が出てきたという中で、この試合だったりも最後まで誰一人足を止めなかったと思いますし、その中で粘り強さだったりは出てきたと思います。新人戦の負けからその後も勝てない時期が続いてこの総体も不安が大きかったんですけれども、この総体を機にチームとしてももう一個上に行けたら良い」と頷いた。

 

 インターハイの目標は昨年超え、さらにその先だ。守備の不安定さや回収率、攻撃のスピード感の向上も課題。平塚は「先輩を追いかけるよりは追い越していくくらいで良い結果を残して、やっぱり去年だけ強かったとは絶対に言われたくないので、もっと追い越していくくらいの気持ちでやっていきたい」と宣言。また、田口は「チームの目標としてはまだまだ足りないですけれども、全国優勝というところは掲げているので、そこに行けるように明日からまた頑張っていきたい」と力を込めた。重圧を乗り越えて県予選突破。全国大会までにまだまだ成長し、ライバルたちにチャレンジする。

 

(取材・文 吉田太郎)

 

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