横浜F・マリノスユースが誇る左の頭脳、DF池田春汰
[2.11 NEXT GENERATION MATCH 横浜FMユース 2-2 日本高校選抜 国立]
いわゆる現代型のサイドバックだ。トップチームのスタッフから注目を集めていることからもわかるように、それはそのまま『横浜F・マリノスらしいサイドバック』と言い換えてもいいだろう。
「サポーターの皆さんから凄く良い応援をもらったので、これからもっと頑張らないとなと思います。自分の課題をちゃんと見つけて、そこを直していければトップにも近付くと思うので、1つ1つしっかり目の前のことをやっていきたいです」。
トリコロールの未来を担い得る、左の頭脳。昨シーズンから横浜F・マリノスユースの左サイドバックを任されているDF池田春汰(2年=横浜F・マリノスジュニアユース出身)が、初々しく国立競技場のピッチに立った。
「日産スタジアムではやったことがあったんですけど、日産とも全然違って、大きく見えるというか、迫力があったので最初は緊張しましたね」。池田は“聖地”の印象をそう語る。日本高校サッカー選抜と対峙したNEXT GENERATION MATCH。全員が3年生で構成される相手に対し、全員が1,2年生の横浜FMユースは、立ち上がりから会場の雰囲気に飲まれた感もあり、劣勢を強いられる。
ゲームリズムそのままに5分で失点。その後も押し込まれる展開の中で、さらなるピンチが訪れたのは24分だ。右サイドを完璧に崩され、グラウンダーで入ってきたクロス。相手のシュートはGKを破るも、ゴールカバーに入った25番が間一髪でスーパークリアを繰り出す。
「結構カウンター気味で、間に合わないかなと思ってゴールカバーに回ったので、うまくクリアできたかなと思います」と少しだけ胸を張った池田。その攻撃性に定評があるが、危機察知能力は去年のプレミアリーグでも随所に発揮している。このピンチを逃れた横浜FMユースは、前半のうちにFW望月耕平(1年)のゴールで同点に。1-1で前半を折り返せたのは、左サイドバックの“守備”での貢献も見逃せないポイントだった。
ハーフタイムにベンチも修正を図る。「前半は自分たちのサッカーがあまりできずにいたので、大熊(裕司)監督からも『もっと高い位置を取れ』という指示があって、そこで上手くボランチを使えて、自分たちのサッカーができたと思います」という池田も、前半以上に中で受け、外を駆け上がり、攻撃への比重を高めていく。
実は楽しみにしていた“再会”があった。高校選抜の左サイドハーフでスタメン出場したMF野頼駿介(3年)は小中時代の1つ年上の先輩。「僕がF・マリノスのプライマリーに入った小3からずっとお世話になっていた先輩で、家も同じ方向だったので、仲良くしてくれていたんです。ユースに入ってからも何回かは会っていたんですけど、結構久しぶりで一緒にできて嬉しかったです」。
前半はお互い逆サイドでプレーしていたが、後半途中から野頼が右サイドバックに入ったことで、マッチアップする機会も。「ちょっとやり合えましたし、そこは楽しかったですけど、最後にやられました(笑)」と池田も振り返ったように、アディショナルタイムには“先輩”に綺麗なアシストで出し抜かれる。ただ、国立競技場での再会は“後輩”にとっても小さくない刺激になったようだ。
中学2年時に飛び級でU-15日本代表候補合宿に招集された経験も有するタレントは、もともとボランチが主戦場だったが、ユースに昇格した高校1年時の秋口にサイドバックへとコンバートされた。
すると、新たなポジションにも難なくフィットし、昨年は不動のレギュラーとしてプレミアのピッチで躍動。「ボランチをやっていたので、セカンドボールの反応は得意な方だと思いますし、サイドハーフとの連携の部分でも、内側で受けることが多いので、そこで受けてサイドへの展開は意識しています」と自ら話すように、トップチームとも同様の役割を託されるこのチームのサイドバックは、まさに適任と言っていいだろう。
サイドバックにケガ人が相次いでいたトップチームの事情もあって、キャンプにも招集が掛かったものの、自身もケガによって参加することは叶わなかった。「せっかく自分も呼んでもらえたのに、そのチャンスを逃したのは悔しかったですけど、まだチャンスはあるはずなので頑張りたいなと思います」。もちろん今年の最大の目標はトップ昇格。そのためにやるべきことは、明確だ。
「まずはプレミアリーグ優勝です。去年はクラブユースもプレミアも2位フィニッシュだったので、あと一歩で足りなかった所を獲りたいですね。今日はなかなかできないような良い相手とできたので、そこで少し差を感じたフィジカルの部分も頑張りたいなと思いましたし、個人としてはもちろんトップ昇格を目指してやりたいです」。
プライマリーから数えて、勝負の10年目。トリコロールのDNAを刻み込まれた池田のさらなる飛躍は、ユースにとっても、トップチームにとっても、未来へ差し込む明るい光になることに疑いの余地はない。
(取材・文 土屋雅史)
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