目の覚めるようなキャノンシュートが勝負を決めた。
第101回全国高校サッカー選手権東京予選の2次予選Bブロック準決勝が11月6日に行われ、国士舘と大森学園が対戦。国士舘が2-1で勝利を収め、決勝進出を決めた。
T2リーグ(都2部)所属の国士舘はT4リーグの大森学園を相手に立ち上がりから主導権を握る。
左のMF4濱田大和(年)と右のMF10原田悠史(2年)の両サイドが打開を図りつつ、FW21手塚令恩(3年)とFW22ワフダーン康音(2年)の2トップが運動量豊富に前線を動き回って攻め手を探っていった。
ところが国士舘は一瞬の隙を突かれて先制点を献上してしまう。15分、右サイド(大森学園から見て左サイド)を打開されると、その流れからMF8若原和(2年)にゴールネットを揺らされた。
それでもじわじわと敵陣に攻め入っていく国士舘に同点弾が生まれたのは19分。左サイドを突破した濱田のパスからワフダーンが鮮やかなシュートをゴール右に決めてみせた。
後半に入ると一進一退に。それでも国士舘は、大森学園にボールを回されながらも、MF7島田龍(1年)とMF11木原涼太(3年)の2ボランチの素早い寄せでピンチの芽を刈り取っていく。
また44分に濱田が右ポスト直撃の豪快なロングシュートを放つなど、機を見て追加点を狙っていった。
中盤での主導権争いが続くなかで、会場が大いに揺れる瞬間が52分に訪れる。DF5山本辰樹(3年)からロングスローが投じられると、はね返ったボールに合わせてDF6一瀬雅斗(3年)が左足を一閃。約30メートルのキャノンシュートをゴール左上に突き刺し、待望の勝ち越し点をもたらした。
本田裕一郎テクニカルアドバイザーが「フロックに近いよ、再現性はまったくないね。でも凄かったでしょ」と称え、敵将の小倉鋭也監督が「あれはもうナイスシュートと言うしかない」と舌を巻くほどの圧巻のゴールだった。
リードを奪った国士舘はその後、最後までDF2宮本秀(3年)とDF23大阪竜也(2年)のCBコンビが築く堅陣を破られることなく、リードを守り切った。
見事に勝ち切った国士舘は、本田テクニカルアドバイザーが就任してから初の決勝進出。5年ぶり4度目の全国切符まであと1勝。決勝では成立学園と対戦する。
一方で敗れた大森学園も見応えのある戦いを披露。安永聡太郎テクニカルダイレクターの指導のもとで磨いてきたパスワークはハイレベルで、国士舘の組織的なプレスを丁寧に掻い潜っていった。FW11阿部圭佑(3年)の突破力、MF10原田大聖(2年)のテクニック、DF2大澤郁輝(3年)とDF3高梨天馬(3年)の冷静な組み立てはとりわけ光った。
(文・写真=多田哲平)
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