第101回全国高校サッカー選手権の都道府県予選が、各地で開催されている。「選手権予選注目の11傑」と題し、ユース年代を主に取材するライター陣に選手権予選注目の11選手を紹介してもらいます。第23回は(株)ジェイ・スポーツで『Foot!』ディレクターやJリーグ中継プロデューサーを歴任し、現在はフリーランスとして東京都中心にユース年代のチーム、選手を取材、そしてゲキサカコラム『SEVENDAYS FOOTBALLDAY』も連載中の土屋雅史氏による11名です。
土屋雅史氏「もう15年近く継続的に取材させていただいている東京の高校サッカー界に限定して、選手権予選のAブロック、Bブロックともにベスト8まで勝ち上がってきたチームの3年生の中から、11傑を選出しました。今年の3年生は入学時からコロナ禍に見舞われ、思うようにサッカーをすることが叶わなかった世代。この最後の選手権で、今まで溜めてきたすべてのパワーを解放して、良い思い出を作ってくれることを切に願っています!」
以下、土屋氏が注目する11名
GK森田颯太(国士舘高3年)
昨シーズンからレギュラーを任されてきたアグレッシブなGKだ。思い切りのよい飛び出しからのビッグセーブはデフォルトだが、スピード豊かな選手の揃ったアタッカー陣を走らせる正確なパントキックも魅力的。足元のテクニックにも秀でた現代型のスタイルで、チームを最後尾から支えている。今季はキャプテンマークを巻く試合も多く、チームメイトを鼓舞する声もより増加した印象。名将・本田裕一郎テクニカルダイレクターの元、4年ぶりとなる冬の全国を狙う国士舘の絶対的な守護神に要注目。
DF百瀬健(実践学園高3年)
『心で勝負』を掲げる実践学園では伝統となっている“10番でキャプテン”を、今シーズンに入って継承したのがこの男。「毎回自分に10番が来るわけではないですし、キャプテンをできるわけではないという覚悟を持ってやっています」と常に危機感を抱きながら、自分にできることと地道に向き合ってきた。試合に出られない時期もあり、グループをどうまとめていくかに腐心してきた中で、ここに来てようやくチームの雰囲気も上向きに。2022年の“10番でキャプテン”はしぶとく、泥臭く、戦い続ける
DF池田歩柊(関東一高3年)
国立競技場への帰還を真剣に目指す関東一で、センターバックの定位置を掴んだ努力家。全国4強の“次の世代”の3年生として、なかなか結果に恵まれない時期を送ってきたが、「去年の方が良いプレーをしてやろうという感じだったんですけど、今年は自分も下級生の立場を経験しているので、1,2年生にもっと自由にやらせてあげようというマインドでやっています」と責任感のある発言も。チームを率いる小野貴裕監督もその人間性に太鼓判を押している、懐の深いディフェンスリーダーだ。
DF大澤郁輝(大森学園高3年)
近年は上位進出の常連となりつつある大森学園のディフェンスリーダー。丁寧なビルドアップを志すスタイルの中、確かな技術でパスワークの起点を創出し、ペナルティエリア内では身体を投げ出してのシュートブロックも厭わない勇敢さも併せ持つ。昨年度の大会では関東一高と対峙した西が丘の準決勝でもピッチに立っており、結果的に全国4強まで駆け上がった強豪を1失点に抑えるも、悔しい惜敗。リターンマッチとなる次戦の準々決勝に並々ならぬ意欲を携えていることは想像に難くない。
MF柳本華弥(東海大高輪台高3年)
悲願の選手権初出場を期す東海大高輪台の中盤を引き締める、10番とキャプテンを託されたゲームメイカーは、ピッチの中央で全体のバランスを監視しつつ、3列目から積極的に前へと飛び出し、自分でゴールを奪いに行く強気な攻撃性も兼備。「東京都ナンバーワンの力を付けて、全国にチャレンジすることが目標ですし、高輪台の10番は伝統や責任があるので、それにふさわしい選手になれるように、チームの顔をとしてやっていけるように頑張りたいと思います」と言い切るメンタルも頼もしい。
MF東舘大翔(堀越高3年)
1年時の選手権ではスタメンで全国を経験したものの、昨年度はチームの敗退をベンチで味わうことに。得意の左足を駆使した高い技術が目を引くが、「自分は比較的おとなしい方なんですけど、声を出して、身体を張って、しっかりチームのために戦いたいなと思います」と意識改革を断行。頼れる大黒柱に進化しつつある。中学までは柏レイソルのアカデミーで育っており、当時のチームメイトの活躍も刺激に変えているとのこと。このレフティの躍動が、チームで掲げる東京3連覇の大きなカギを握る。
MF松原智(駒澤大高3年)
昨シーズンはサイドハーフでチャンスメイクを繰り返していたが、3年生になってボランチの位置でより“司令塔”感を出しながら、攻撃のタクトを振るう。本人も「ドリブルは得意ですし、スルーパスもいい所に出せるかなと思います」と認めるように、地上戦で力を発揮するタイプ。伝統の武骨な力強いスタイルを継承する駒澤大高の中でこそ、その高い技術が際立つ。また、今季は関東大会予選準決勝やインターハイ予選準々決勝と大事な一戦でゴールを奪うなど、ここ一番での勝負強さも身に付けている。
MF陣田成琉(成立学園高3年)
実に17年ぶりの全国出場が懸かる成立学園の攻撃は、この男からスタートする。「今年は前で自由にやらせてもらっているので、より自分の良さが出ているのかなと思います」と話したように、今シーズンは主に1.5列目でプレーしており、得意のスルーパスを操るのはもちろん、自らゴールを狙う意識も十分。中学時代を過ごしたF・マリノス仕込みのテクニックが、チームの攻撃に彩りを加える。なお、練習会の参加時に先輩の吉長真優(ジュビロ磐田)の上手さを見て、入学を決意したというエピソードも。
MF田中遥稀(帝京高3年)
決勝まで駆け上がった夏の全国では大会優秀選手に選出。高いキック精度には定評があり、「どうやってポイントを合わせられるかの会話は中の選手としています」というセットプレーはチームの大きな得点源。インターハイでも3回戦の丸岡高戦では後半35+10分という土壇場に直接FKで決勝弾を叩き込み、チームの危機を鮮やかに救ってみせた。周囲のアドバイスに耳を傾けられる高い成長欲も特徴の1つ。選手権で完全復権を目指すカナリア軍団におけるキーマンであることに疑いの余地はない。
FWパク・ソラ(東京朝鮮高3年)
1次予選から逞しく勝ち上がってきた東京朝鮮のエース。2年時はサイドで自由自在に高いテクニックを披露する姿が印象的だったが、キャプテンを託された今季はよりチームの勝敗を担う責任感が漂う。今大会も3回戦の明星学園高戦では1ゴール1アシストを記録し、準々決勝進出を結果で牽引した。チームとしても近年は上位進出を阻まれてきた流れの中で、3年ぶりとなる西が丘のピッチを、そしてその先にある悲願の全国出場を手繰り寄せるためには、この10番の得点に直結するプレーが必要不可欠だ。
FW塩貝健人(國學院久我山高3年)
いわゆる“剛のストライカー”だ。圧倒的な身体の強さを生かしたポストプレーも、スピードとパワーを高い次元で融合させた推進力抜群のドリブルも、間違いなく全国レベル。ゴールパターンも豊富に揃え、チームの絶対的エースに成長を遂げた。指名されたキャプテンの役割にも「みんなに支えてもらっているので、オレがもっと成長できたら、チームももっと強くなると思います」とポジティブに向き合っている様子。4年ぶりの全国を切望する國學院久我山のスペシャルなフォワードから目が離せない。
■執筆者紹介:
土屋雅史
「(株)ジェイ・スポーツに勤務。Jリーグ中継担当プロディーサーを経て、『デイリーサッカーニュース Foot!』を担当。群馬県立高崎高3年時にはインターハイで全国ベスト8に入り、大会優秀選手に選出。ゲキサカでコラム、『SEVENDAYS FOOTBALLDAY』を連載中。著書に「メッシはマラドーナを超えられるか」(亘崇詞氏との共著・中公新書ラクレ)。」
森田記者が推薦するMF長田叶羽(ガンバ大阪ユース、3年) 7月22日に開幕する夏のクラブユースチーム日本一を懸けた戦い、第48回日本クラブユースサッカー選手権(U-18)大会の注目プレーヤーを大特集!「クラセン注目の11傑」と題し、ユース年代を主に取材するライター各氏に紹介してもらいます。第1回は関西の高校生を中心に各カテゴリーを精力的に取材する森田将義記者による11名です。 森田記者「すでにトップチームに欠かせない戦力になりつつある広島ユースのMF中島洋太朗。6月の新潟戦でJ1デビューを果たした鹿島ユースのFW徳田誉。高3ながらもこの夏、海外に渡る熊本のFW道脇豊。今年はアカデミー出身の若い選手の飛躍が目を惹きますが、クラブユース選手権(U-18)には彼らに続く可能性を秘めた選手がまだまだ存在します。今回は夏の祭典を機にブレークを果たしてくれると期待し、見た試合でのインパクトが...
[4.14 プレミアリーグWEST第2節 静岡学園高 0-3 神戸U-18 時之栖スポーツセンター 時之栖Aグラウンド(人工芝)] 相手が素晴らしいチームなのはわかっている。間違いなく攻撃的に来るであろうことも、容易に想像が付く。だからこそ、自分たちも引くつもりなんて毛頭ない。アグレッシブに打ち合って、その上で勝ち切ってやる。クリムゾンレッドの若武者たちは、勇敢な決意をハッキリと携えていたのだ。 「本当にこのリーグは難しいリーグなので、正直勝ててホッとしています。それも『こういうサッカーをしようよ』ということを、自分たちがある程度しっかり出した上で結果も付いてきたので、そこが凄く喜ばしいかなと思っています」(神戸U-18・安部雄大監督)。 真っ向からぶつかって3発を叩き込み、2試合目で掴んだ初白星。14日、高円宮杯 JFA U-18サッカープレミアリーグ 2024 WEST第2...
[10.12 国体少年男子1回戦 東京都 1-1(PK4-2)鹿児島県 OSAKO YUYA stadium] 東京都が“決勝戦”と位置づけていた一戦を突破した。対戦した鹿児島県はともにU-16日本代表のMF福島和毅(神村学園高1年)やFW大石脩斗(鹿児島城西高1年)を擁し、地元国体のために準備してきた注目チーム。この日は、800人の観衆が地元チームを後押ししていた。 だが、石川創人監督(東京農大一高)が「僕らは『ここが決勝戦だ』と言ってチームを作ってきた」という東京都が、強敵を上回る。技術力の高い選手の多い鹿児島県に対し、MF仲山獅恩(東京Vユース、1年)とMF鈴木楓(FC東京U-18、1年)中心にコミュニケーションを取って準備してきた守備で対抗。相手にバックパスを選択させたり、奪い取る回数を増やしていく。 鹿児島県の巧さの前に迫力のあるショートカウンターへ持ち込む回数は少な...
※2023年10月12日時点 【高体連】▽帝京DF梅木怜(→FC今治)MF横山夢樹(→FC今治) ▽市立船橋FW郡司璃来(→清水エスパルス) ▽桐光学園MF齋藤俊輔(→水戸ホーリーホック) ▽興國MF國武勇斗(→奈良クラブ)MF宮原勇太(→グールニクザブジェ) ▽飯塚DF藤井葉大(→ファジアーノ岡山) ▽大津MF碇明日麻(→水戸ホーリーホック) ▽宮崎日大DF松下衣舞希(→横浜FC) ▽神村学園FW西丸道人(→ベガルタ仙台) ▽鹿児島城西MF芹生海翔(→藤枝MYFC) 【Jクラブユース】▽北海道コンサドーレ札幌U-18FW出間思努(→北海道コンサドーレ札幌) ▽モンテディオ山形ユースGK上林大誠(→モンテディオ山形)DF千葉虎士(→モンテディオ山形)▽浦和レッドダイヤモンズユースMF早川隼平(→浦和レッドダイヤモンズ)▽ジェフユナイテッド千葉U-18DF谷田壮志朗(→ジェフユナイテッド...
10番・長のゴールを称えるチームメイトたち。昌平は尚志を相手に逆転負けを喫した。写真:河野正 村松コーチが監督代行として指揮 埼玉・昌平高校サッカー部を全国屈指の強豪へ育て上げた藤島崇之監督が10月3日付で退任し、新体制に移行して最初の公式戦、高円宮杯JFA U-18プレミアリーグEASTが7日に行なわれ、昌平は尚志(福島)に1-2で逆転負けし、3連敗を喫した。村松明人コーチが監督代行として指揮を執った。 今季プレミアリーグに昇格したチーム同士の対戦。4-2-3-1の昌平は前半6分あたりからペースを握り出し、ボランチの土谷飛雅とトップ下の長準喜(ともに3年)を経由してリズミカルな攻撃を展開。13分、MF大谷湊斗(2年)が右から鋭く切れ込んでからの最終パスが尚志DFに当たり、そのこぼれ球を長が蹴り込んで先制した。 前節まで6試合連続無失点の尚志の堅陣をこじ開けたことで、昌平...
■代表決定日一覧 ▽北海道・東北北海道予選:11月12日青森県予選:11月5日岩手県予選:11月5日宮城県予選:11月5日秋田県予選:10月21日山形県予選:10月21日福島県予選:11月5日 ▽関東茨城県予選:11月12日栃木県予選:11月11日群馬県予選:11月12日埼玉県予選:11月14日千葉県予選:11月11日東京都A予選:11月11日東京都B予選:11月11日神奈川県予選:11月12日山梨県予選:11月11日 ▽北信越・東海長野県予選:11月11日新潟県予選:11月12日富山県予選:11月11日石川県予選:11月5日福井県予選:11月5日静岡県予選:11月11日愛知県予選:11月11日岐阜県予選:11月11日三重県予選:11月11日 ▽関西滋賀県予選:11月11日京都府予選:11月12日大阪府予選:11月11日兵庫県予選:11月12日奈良県予選:11月12日和歌山県...
※2023年10月5日時点 【高体連】▽帝京DF梅木怜(→FC今治)MF横山夢樹(→FC今治) ▽興國MF國武勇斗(→奈良クラブ)MF宮原勇太(→グールニクザブジェ) ▽飯塚DF藤井葉大(→ファジアーノ岡山) ▽大津MF碇明日麻(→水戸ホーリーホック) ▽宮崎日大DF松下衣舞希(→横浜FC) ▽神村学園FW西丸道人(→ベガルタ仙台) ▽鹿児島城西MF芹生海翔(→藤枝MYFC) 【Jクラブユース】▽北海道コンサドーレ札幌U-18FW出間思努(→北海道コンサドーレ札幌) ▽モンテディオ山形ユースGK上林大誠(→モンテディオ山形)DF千葉虎士(→モンテディオ山形)▽浦和レッドダイヤモンズユースMF早川隼平(→浦和レッドダイヤモンズ)▽ジェフユナイテッド千葉U-18DF谷田壮志朗(→ジェフユナイテッド千葉)▽FC東京U-18MF佐藤龍之介(→FC東京)GK小林将天(→FC東京)▽東京ヴェルディ...
高校サッカーの強豪、昌平高(埼玉)の藤島崇之監督が退任することが分かった。習志野高(千葉)、順天堂大出身の藤島監督は、07年に昌平の監督に就任。当時無名の私立校を短期間で3度のインターハイ3位、全国高校選手権8強、“高校年代最高峰のリーグ戦”プレミアリーグEAST昇格など、全国有数の強豪校へ成長させた。 判断力、技術力の質の高い選手たちが繰り出す攻撃的なサッカーが話題となり、また、12年に創設した育成組織、FC LAVIDAとの中高一貫6年指導によって、選手育成でも注目される高校に。現在、7年連続でJリーガーを輩出中で、U-22日本代表FW小見洋太(新潟)やU-17日本代表MF山口豪太(1年)ら多数の年代別日本代表選手も育てている。また、藤島監督は日本高校選抜やU-18日本代表のコーチも務めた。 昌平は近年、男子サッカー部の活躍に続く形で他の運動部も相次いで全国大会出場を果たしてい...
※2023年10月2日時点 【高体連】▽帝京DF梅木怜(→FC今治)MF横山夢樹(→FC今治) ▽興國MF國武勇斗(→奈良クラブ)MF宮原勇太(→グールニクザブジェ) ▽飯塚DF藤井葉大(→ファジアーノ岡山) ▽大津MF碇明日麻(→水戸ホーリーホック) ▽宮崎日大DF松下衣舞希(→横浜FC) ▽神村学園FW西丸道人(→ベガルタ仙台) ▽鹿児島城西MF芹生海翔(→藤枝MYFC) 【Jクラブユース】▽北海道コンサドーレ札幌U-18FW出間思努(→北海道コンサドーレ札幌) ▽モンテディオ山形ユースGK上林大誠(→モンテディオ山形)DF千葉虎士(→モンテディオ山形)▽浦和レッドダイヤモンズユースMF早川隼平(→浦和レッドダイヤモンズ)▽ジェフユナイテッド千葉U-18DF谷田壮志朗(→ジェフユナイテッド千葉)▽FC東京U-18MF佐藤龍之介(→FC東京)GK小林将天(→FC東京)▽湘南ベルマーレ...
鹿児島城西のMF芹生は、身体の使い方が上手く、パスセンスも高い司令塔だ。写真:松尾祐希 今年のチームは攻撃陣にタレントが揃う “半端ない”FW大迫勇也(神戸)を擁して選手権で準優勝を果たしてから15年。鹿児島城西が虎視眈々と復権の機会を狙っている。 鹿児島の高校サッカーと言えば――。2000年代の前半までMF遠藤保仁(磐田)やMF松井大輔(YS横浜)らを輩出した鹿児島実がその名を轟かせた。 近年は神村学園が躍進し、昨年度は福田師王(ボルシアMG)やMF大迫塁(C大阪)を擁してベスト4まで勝ち上がったのは記憶に新しい。インターハイは6年連続、冬の選手権も昨年度まで6年連続で出場しており、今季から2種年代最高峰のU-18プレミアリーグ高円宮杯に参戦するまでになっている。 一方で鹿児島城西は前述の通り、2008年度の選手権で日本一にあと一歩まで迫り、以降も神村学園と切磋琢磨し...
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