「青森山田戦は衝撃だった」選手権決勝で味わった“最大の屈辱”をバネに…大津の新主将・小林俊瑛が新たな決意「自分が期待に応えないと」
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「本当に何もさせてもらえなかった」

 

0-4の完敗を喫した選手権の決勝から約4か月。大津の小林(9番)はその悔しさと向き合いながら、新たな歩みを進めている。写真:松尾祐希

 

 高校サッカー選手権の決勝から約4か月。昨冬の大舞台を知る大津のFW小林俊瑛(3年)は悔しさを噛み締めながら、試行錯誤を続けている。

 

 谷口彰悟(川崎)や植田直通(ニーム)など、多くの選手を日本代表に育て上げた平岡和徳総監督から期待をかけられ、1年次からトップチームで出場機会を得てきた。昨年はレギュラーに定着。191センチのサイズを生かした空中戦の強さを武器にゴールを重ね、世代別代表に招集されるまでに成長を遂げた。

 

 同年冬の選手権でも2得点をマーク。しかし、青森山田との決勝では何もさせてもらえなかった。

 

 チームとして放ったシュートは0本。0−4で敗れた一戦は、今でも鮮明に覚えている。

 

「自分にとって衝撃的な試合でした。まずボールが前に来ない。来たとしても全部はね返される状況。なかなか攻め手がなく、本当に何もさせてもらえなかった」

 

 エアバトルは県内では負け知らず。U-18高円宮杯プレミアリーグ2021でも11試合に出場し、全国トップクラスの強度を理解していたはずだった。だが、現実は甘くない。ストロングポイントを封じられ、サッカー人生最大の屈辱を味わった。

 

 迎えた今季はキャプテンを託され、チームを背負う立場になった。先頭に立つタイプではないが、選手権の悔しさをリアルに知る数少ない選手と考えれば自然の流れである。

 

「(選手権)決勝の舞台を経験したのが自分と田原(瑠衣)だけ。悔しさを知っているのはふたりだけなので、悔しさを糧にやらないといけない。去年達成できなかった選手権優勝を目標にしているし、そのために毎日強度の高い練習をしている。それを信じてやっていくしかない」

 

 キャプテンとして、青森山田戦の悔しさを仲間に伝える役割がある。だからこそ、山城朋大監督も小林をリーダーに選んだ。

「決勝の舞台を知っている。その想いをどれだけチームに表現できるか。それを彼に求めている。一昨年の悔しさを持っている森田(大智/現・早稲田大1年)がやりましたけど、彼も本当はキャプテンをやるようなタイプではない。でも、あえて任せ、県大会で敗退した悔しさを背負って1年間やってもらいました。なので、小林も選手権決勝で負けた悔しさを持って、その想いを表現して欲しいんです」(山城監督)

 

清水ユース戦では大敗、監督も奮起を促す

 

 ただ、現状でその想いを表現できていない。今シーズン、プレミアリーグWESTを戦う大津は5試合を終えて、1勝1分3敗。全試合に出場している小林もまだ1得点しか挙げられていない。

 

 5月1日に行なわれた第5節・清水ユース戦は、序盤から失点を重ね0−4の敗戦。小林がこの試合で放った3本のシュートを決めきれず、山城監督も「今日のゲームはもっとやらないといけない。本人もそう思っているはず」と奮起を促した。

 

 競り合いで強さを発揮し、クロスボールに合わせるタイミングも悪くなかった。しかし、ゴールを奪えなければ、意味がない。苦しいときにチームを救うのがキャプテンでありストライカーの役目だからだ。

 

「最後の最後は自分。仲間が信頼をしてくれているからこそ、自分が期待に応えないといけない」

 

 小林の表情からは悔しさが滲んだ。だが、下を向いている暇はない。高卒でのプロ入りを目指すのであれば、チームを勝たせる選手になるのは必須。自分と向き合いながら、成長スピードを加速させていくしかない。191センチという唯一無二の武器を生かすも殺すも自分次第。何度も味わう敗戦の悔しさが小林を奮い立たせる原動力になるはずだ。

 

取材・文●松尾祐希(フリーライター)

 

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