“中学までに挫折した部員”が選手権優勝…岡山学芸館・高原監督が語る“健全な競争と100分トレ”「日本一熱い球技大会と呼ばれてます」
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第101回全国高校サッカー選手権で優勝を飾った、岡山学芸館高校。岡山県勢初優勝とともに、10数年前までは県内でも無名だったチームが日本一になったストーリーが話題になった。NumberWebでは高原良明監督、学校関係者に取材。サッカー部を中心に「部活と学校のありよう」についてどう考えているかを幅広く聞いた(全3回の2回目/#1#3へ)


個の力の比較では格上と思われていたチームと真正面からぶつかり、最後はねじ伏せた。全国高校サッカー選手権を制した岡山学芸館の最大の特徴はハードワークにある。守備では相手チームにプレッシャーをかけ、自由にプレーさせない。ボールを奪えば一気に攻撃へと転じる。試合終盤でも走り続け、スタイルを貫いた。

“チームとして何ができるか”にサッカーの魅力が

岡山学芸館には中学までに挫折を経験した選手が多い。世代トップレベルの選手は、J2ファジアーノ岡山の下部組織や岡山県外の強豪校に進学する。実際、選手権の優勝メンバーにJリーグのクラブ入団内定選手はいない。日本一達成後は“雑草軍団”、“非エリート集団”などと表現された。

1対1の技術で勝負したら分が悪い。だが、それがチームの勝敗に直結しないところにサッカーのおもしろさがある。いくらテクニックのある選手であっても、狭いスペースで2人、3人に囲まれれば思うようなプレーはできない。同じ高校生であれば、なおさらだ。チームを岡山県勢初の日本一に導いた高原良明監督は、こう話す。

「1対1で勝てなければ1対2、1対3で食い止めたり、局面を打開したりすれば良いわけです。チームとして何ができるかを考えるところにサッカーの魅力があると思っています」

世代トップレベルの選手であっても、そうではない選手であっても、それぞれに育成の難しさがあると高原監督は話す。岡山学芸館サッカー部はセレクションで選手をふるいにかけず、入部希望者は誰でも歓迎している。

学校内での「日本一熱い球技大会」って?

「うちのチームを選んでくれたことがうれしいので、高校3年間でどれだけ成長させられるかを目標に指導しています」

方針の根本には、選手の能力を最大限に引き出す考え方がある。

チーム力を上げるキーワードの1つは「競争」。岡山学芸館ではレギュラー組を頂点に選手を4つのカテゴリーに分けている。個々のカテゴリーにコーチを配置。指導者間で選手の情報を密に交換し、頻繁に選手を入れ替える。どの選手にもチャンスがあることによる高いモチベーション、主力でも隙を見せればポジションを失う緊張感が選手の成長につながっている。

選手権優勝後初の公式戦となった今月の新人戦では、準決勝と3位決定戦に敗れて4位。レギュラー組のメンバーを大幅に替えて再スタートを切っている。高原監督は「競争がなければチームは強くなりません。下のチームに落とした時は理由を説明する時もありますが、大半のケースは選手自身が足りない部分を分かっています。はい上がるのか、そのまま落ちていくのか、選ぶのは選手自身です」と語る。

競争はチーム内だけにとどまらない。


“エリート軍団”へのライバル意識も選手のモチベーションを高めている。所属するプリンスリーグ中国には、J2ファジアーノ岡山U-18も属している。ファジアーノの中には岡山学芸館に通う選手もいるため、両チームの選手が一緒に学校生活を送っているのだ。高原監督は言う。

「ファジアーノとの試合は日本一熱い球技大会と呼ばれています。相手はプロの下部組織というプライドがありますし、うちも負けたくないのでバチバチの戦いです。プリンスリーグで戦うクラブチームと高体連のチームが対戦するのは珍しいケースだと思いますが、チーム力の向上につながっていると感じています」

チーム全体で動く時間は1日2時間にも満たない

岡山学芸館の中には、ファジアーノのユースに上がれなかった選手もいる。ユースは別世界で小中学校の頃に町クラブで育った選手も多い。「高校では立場を逆転させる」。かつての劣等感はハングリー精神に変わった。チーム内外で激しい競争を生む仕組みができ上がっている。

ハードワークを特徴とする岡山学芸館のスタイルを見ると、日頃の練習量が他校を圧倒しているとイメージするかもしれない。しかし、決して練習時間は長くない。1週間のスケジュールは月曜日が自主練習、火曜日がフィジカルトレーニング、水・木曜日が全体練習で金曜日は調整して土日の試合に臨む。掲げているのは「100分トレーニング」。チーム全体で動く時間は1日2時間にも満たない。

100分トレーニングは、熊本県の大津高校を指揮する平岡和徳監督の方針を高原監督が参考にして取り入れた。全国屈指のサッカー強豪校を作り上げ、多数のプロ選手を育てている平岡監督は、高原監督にとって憧れの指導者の1人だという。「人間はゴールが見えないと頑張れない」。平岡監督の言葉から、高原監督は短期集中の練習へ方針転換した。

「自分の選手時代を振り返っても、何時に終わるんだろう、まだ続くのかと思いながら練習していました。短時間でゴールが分かっていると、練習の質は上がります。指導する立場でも、長時間集中するのは難しいと感じます」

「腹八分目」の練習を意識させるメリットとは

勝負は100分間。選手はゴールに向かって力を出し切る。高原監督やコーチ陣は選手の動きに集中して、チームを作り上げていく。時間が限られているからこそ、1分1秒を無駄にしない気持ちが強くなる。

高原監督は「以前の練習は多少ダラダラしても仕方ないという感じでした。プレーの強度など、質の追求が欠けていたと思います」と振り返る。今は「腹八分目」の練習を意識する。選手に「もう少し練習したい」という感覚が残ると、自主性につながるという。

岡山学芸館の平日練習は午後6時半頃に終了するが、その後は自主練習の時間が設けられている。選手が個々の課題に取り組んだり、長所を伸ばしたりする。自主練の時間を有効活用した選手の代表が、選手権でも存在感を見せたMF岡本温叶選手。身長166センチと小柄ながら、左右どちらも精度が高いキックが特徴で、準決勝の神村学園戦では同点弾を決めている。

ペナルティエリアの外から左足で決めたゴール。ファーサイドから内側へ曲がる軌道は技術の高さを物語っていた。ただ、左足は岡本選手の利き足ではない。中盤でプレーする上では両足を操る必要性を感じ、自主練で左足のキックを繰り返した。高原監督もコーチ陣も「決して身体能力は高くない」と話すが、誰もが認める努力家。周りからは「自主練の鬼」と呼ばれていた。指揮官は「最終的には左足の方が上手いのではないかというレベルになっていました」と評した。

フィジカルトレーニングも数値化している

目的意識を持ち、限られた時間で質を追い求める練習はフィジカルトレーニングにも表れている。チームは昨年から、選手の筋力を明確に数値化している。目標に掲げるのは青森山田、大津、前橋育英といった強豪校の数字。選手たちは自分には今、どんな要素がどれくらい足りていないのか把握して、追いつくための道筋を描く。高原監督は「全国大会の上位に進むには、個のレベルを上げていかなければいけないと最近は強く感じています。足元の技術があってフィジカルも強いチームには、組織力を鍛えても限界があります」と話す。

そして、フィジカルトレーニングでも競争を欠かさない。トレーナーによる勉強会で、数字を伸ばしている選手が報告される。ライバルの動向が闘争心に火をつけている。

Jリーグクラブへの内定者を擁する優勝候補を撃破して岡山県勢で初めて日本一を達成した岡山学芸館は、「番狂わせ」と表現されることもあった。「攻守の切り替えやハードワークの質を上げて、グループで個に対抗する戦い方が正しかったと選手が証明してくれました」と高原監督。チーム内外の激しい競争や効果を最大限に生み出す練習法。確かな根拠がなければ、全国の頂点には立てないのである。

そんな岡山学芸館で、ピッチでのプレー以外の部分でも特色がある。それは「入部希望部員はすべて受け入れる」、そして「勉学に励みながらレギュラーとして活躍する選手もいる」点なのだという。

#3へつづく)


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