【W杯】三笘、久保、板倉、田中の小学生時代指導した高崎康嗣氏 素材を伸ばす指導の極意とは?
{by} www.nikkansports.com

かつて川崎Fの下部組織で指導し、現在はJ3宮崎で指揮を執る高崎康嗣監督


W杯カタール大会の日本代表に、川崎フロンターレのジュニア(U-12)出身者のDF板倉滉(25)、MF三笘薫(25)、MF田中碧(24)、MF久保建英(21)が選ばれた。

昨夏の東京五輪に続く大舞台を踏む、4人の小学生時代を指導したのは高崎康嗣氏(52=J3宮崎監督)。小学生の彼らにどんな指導をして素材を伸ばしてきたのか。その極意を聞いた。【取材・岩田千代巳】

◇   ◇   ◇

板倉は川崎Fのジュニアの第1期生だ。第一印象は「足でも頭でも浮いているボールをとらえるのがうまい」。セレクションではFWで「得点王」だったが、高崎氏は「センターバック、ボランチにしたい」と感じた。両親も大柄で「180センチを超えてボールが扱えるセンターバックはなかなかいない」と将来性を見込んだ。

三笘も第1期性で、小学3年で入った。セレクションで、ニコニコしながら1人だけ別行動を取っていた姿が印象に残っている。小学生はボールに集まる「団子サッカー」になりがちだが、三笘は固まりから外れ、ボールがこぼれそうな所にポジションを取り、味方からボールを受けていた。「賢いしおもしろい」と将来性を見込んでいた。

高崎氏が、サッカーに加え、より重視したのは人間力を磨くことだった。人の目を見て話す、相手や味方との握手、自己紹介は当たり前にできるようにした。

高崎氏「最終的に、サッカーが終わってからの方が人生は長い。小学時代は分からなかったかもしれないけど、日常から意識として置いておいてくれればいいと。彼らにはリーダーになれ、1番になれ、行動は1番におこせ、弱い子は助けなさい、意見を聞いてまとめなさい、と言ってきた」

「止める・蹴る」の技術を上げることで、視野が広がることもある。板倉や田中は「タカさん(高崎氏)に出会って止める・蹴るの意味がよく分かった。それがあるから今がある」と振り返る。だが、高崎氏の教えは、ただそれだけではない。何げない日常の会話の中にも、視野を広げる工夫があった。子どもたちに「今、空に何か動いたよ、気付いた?」と投げかける。きょとんとする子どもたちに「君たちは見えてないね。鳥が動いたよ。飛行機が飛んでるでしょ」。

高崎氏「日常で気付くことができれば、目配り気配りができて視野が広がる。サッカーはそういうスポーツ。(田中)碧たちにも言ってきましたが、学校の教室は30人いる。ピッチではたかだか22人しか見なくていいんだぞと」

高崎氏は子どもたちに「指導者と教え子」ではなく、人と人として向き合った。「今、どうしてこの動きをしたのか」などと問いかけをする。語彙(ごい)力がない小学生に完璧な答えは求めていない。考えることを身に付けて欲しかった。ましてや、海外でプレーすれば、自分の意見を言語化しないと生き残れない。子どもは言葉に窮すると泣きだし、板倉も「タカさんにはよく泣かされた」と振り返る。板倉たちが小学5年のころ「何でコーチは他の(チームの)子どもには優しくて、僕らには厳しいんだ。分からない」と言いに来た。腹は立たず、逆に自分たちの意見を直接、ぶつけに来た教え子たちの成長を感じた。そして、意見を聞いた上で、しっかりと自身の考えを伝えた。

その後も教え子たちは小学生にして人の幅を広げていった。地域の有望な選手を育成する「トレセン」でも、初めて会う選手に「よろしくね」「自己紹介しようぜ」と声をかけ、コミュニケーションを図っていた。その姿を見て「リーダーになってきたかな」と感じたことを覚えている。試合で、高崎氏が相手チームの指導者と雑談をしていると、選手たちはよく、近くによって指導者同士の会話を聞きに来た。貪欲に上達のヒントを探そうとしていた。板倉、三笘、田中もそうだ。素直でよく、人の意見に耳を傾けた。だからこそ、さまざまなことを吸収し、海外や代表へと羽ばたいたと言える。

高崎氏が別格だと感じたのは久保建英。小学4年時で、既に自身の考えを言語化する能力があった。当時から2学年上の6年生とプレーしていた。「失敗は2回、繰り返さないし、有言実行。10歳にしてやっていること、見ていることが大人と同じだった」。

東京オリンピック(五輪)に続き、4人の教え子が次はW杯へ向かう。高崎氏は「一生懸命やって、たまたま僕が携われて。日々、必死になって指導してきた。確かに濃い時代だった」と振り返り、4人の大舞台での活躍に期待を寄せた。
関連ニュース
「ここが決勝戦」。大一番へ向けて準備してきた東京都が“アウェー”で鹿児島県にPK戦勝利

[10.12 国体少年男子1回戦 東京都 1-1(PK4-2)鹿児島県 OSAKO YUYA stadium] 東京都が“決勝戦”と位置づけていた一戦を突破した。対戦した鹿児島県はともにU-16日本代表のMF福島和毅(神村学園高1年)やFW大石脩斗(鹿児島城西高1年)を擁し、地元国体のために準備してきた注目チーム。この日は、800人の観衆が地元チームを後押ししていた。 だが、石川創人監督(東京農大一高)が「僕らは『ここが決勝戦だ』と言ってチームを作ってきた」という東京都が、強敵を上回る。技術力の高い選手の多い鹿児島県に対し、MF仲山獅恩(東京Vユース、1年)とMF鈴木楓(FC東京U-18、1年)中心にコミュニケーションを取って準備してきた守備で対抗。相手にバックパスを選択させたり、奪い取る回数を増やしていく。 鹿児島県の巧さの前に迫力のあるショートカウンターへ持ち込む回数は少な...

国体少年男子
{by} web.gekisaka.jp
【2024年】高校年代サッカー・プロ内定者一覧 【加入情報】

※2023年10月12日時点 【高体連】▽帝京DF梅木怜(→FC今治)MF横山夢樹(→FC今治) ▽市立船橋FW郡司璃来(→清水エスパルス) ▽桐光学園MF齋藤俊輔(→水戸ホーリーホック) ▽興國MF國武勇斗(→奈良クラブ)MF宮原勇太(→グールニクザブジェ) ▽飯塚DF藤井葉大(→ファジアーノ岡山) ▽大津MF碇明日麻(→水戸ホーリーホック) ▽宮崎日大DF松下衣舞希(→横浜FC) ▽神村学園FW西丸道人(→ベガルタ仙台) ▽鹿児島城西MF芹生海翔(→藤枝MYFC) 【Jクラブユース】▽北海道コンサドーレ札幌U-18FW出間思努(→北海道コンサドーレ札幌) ▽モンテディオ山形ユースGK上林大誠(→モンテディオ山形)DF千葉虎士(→モンテディオ山形)▽浦和レッドダイヤモンズユースMF早川隼平(→浦和レッドダイヤモンズ)▽ジェフユナイテッド千葉U-18DF谷田壮志朗(→ジェフユナイテッド...

高校サッカー
{by} koko-soccer.com
「今の状況を打開していきたい」藤島監督が退任、新体制でリスタートを切った埼玉・昌平がプレミアリーグEASTに臨んだ

10番・長のゴールを称えるチームメイトたち。昌平は尚志を相手に逆転負けを喫した。写真:河野正 村松コーチが監督代行として指揮 埼玉・昌平高校サッカー部を全国屈指の強豪へ育て上げた藤島崇之監督が10月3日付で退任し、新体制に移行して最初の公式戦、高円宮杯JFA U-18プレミアリーグEASTが7日に行なわれ、昌平は尚志(福島)に1-2で逆転負けし、3連敗を喫した。村松明人コーチが監督代行として指揮を執った。 今季プレミアリーグに昇格したチーム同士の対戦。4-2-3-1の昌平は前半6分あたりからペースを握り出し、ボランチの土谷飛雅とトップ下の長準喜(ともに3年)を経由してリズミカルな攻撃を展開。13分、MF大谷湊斗(2年)が右から鋭く切れ込んでからの最終パスが尚志DFに当たり、そのこぼれ球を長が蹴り込んで先制した。 前節まで6試合連続無失点の尚志の堅陣をこじ開けたことで、昌平...

埼玉・昌平高校サッカー
高校サッカー
{by} soccerdigestweb
選手権代表決定日一覧 【第102回全国高校サッカー選手権予選】

■代表決定日一覧 ▽北海道・東北北海道予選:11月12日青森県予選:11月5日岩手県予選:11月5日宮城県予選:11月5日秋田県予選:10月21日山形県予選:10月21日福島県予選:11月5日 ▽関東茨城県予選:11月12日栃木県予選:11月11日群馬県予選:11月12日埼玉県予選:11月14日千葉県予選:11月11日東京都A予選:11月11日東京都B予選:11月11日神奈川県予選:11月12日山梨県予選:11月11日 ▽北信越・東海長野県予選:11月11日新潟県予選:11月12日富山県予選:11月11日石川県予選:11月5日福井県予選:11月5日静岡県予選:11月11日愛知県予選:11月11日岐阜県予選:11月11日三重県予選:11月11日 ▽関西滋賀県予選:11月11日京都府予選:11月12日大阪府予選:11月11日兵庫県予選:11月12日奈良県予選:11月12日和歌山県...

第102回全国高校サッカー選手権予選
{by} koko-soccer
【2024年】高校年代サッカー・プロ内定者一覧 【加入情報】

※2023年10月5日時点 【高体連】▽帝京DF梅木怜(→FC今治)MF横山夢樹(→FC今治) ▽興國MF國武勇斗(→奈良クラブ)MF宮原勇太(→グールニクザブジェ) ▽飯塚DF藤井葉大(→ファジアーノ岡山) ▽大津MF碇明日麻(→水戸ホーリーホック) ▽宮崎日大DF松下衣舞希(→横浜FC) ▽神村学園FW西丸道人(→ベガルタ仙台) ▽鹿児島城西MF芹生海翔(→藤枝MYFC) 【Jクラブユース】▽北海道コンサドーレ札幌U-18FW出間思努(→北海道コンサドーレ札幌) ▽モンテディオ山形ユースGK上林大誠(→モンテディオ山形)DF千葉虎士(→モンテディオ山形)▽浦和レッドダイヤモンズユースMF早川隼平(→浦和レッドダイヤモンズ)▽ジェフユナイテッド千葉U-18DF谷田壮志朗(→ジェフユナイテッド千葉)▽FC東京U-18MF佐藤龍之介(→FC東京)GK小林将天(→FC東京)▽東京ヴェルディ...

高校サッカー
{by} koko-soccer
7年連続でJリーガー輩出中。選手育成も注目の強豪、昌平高・藤島崇之監督が退任へ

高校サッカーの強豪、昌平高(埼玉)の藤島崇之監督が退任することが分かった。習志野高(千葉)、順天堂大出身の藤島監督は、07年に昌平の監督に就任。当時無名の私立校を短期間で3度のインターハイ3位、全国高校選手権8強、“高校年代最高峰のリーグ戦”プレミアリーグEAST昇格など、全国有数の強豪校へ成長させた。 判断力、技術力の質の高い選手たちが繰り出す攻撃的なサッカーが話題となり、また、12年に創設した育成組織、FC LAVIDAとの中高一貫6年指導によって、選手育成でも注目される高校に。現在、7年連続でJリーガーを輩出中で、U-22日本代表FW小見洋太(新潟)やU-17日本代表MF山口豪太(1年)ら多数の年代別日本代表選手も育てている。また、藤島監督は日本高校選抜やU-18日本代表のコーチも務めた。 昌平は近年、男子サッカー部の活躍に続く形で他の運動部も相次いで全国大会出場を果たしてい...

昌平高
藤島崇之監督
{by} web.gekisaka.jp
【2024年】高校年代サッカー・プロ内定者一覧 【加入情報】

※2023年10月2日時点 【高体連】▽帝京DF梅木怜(→FC今治)MF横山夢樹(→FC今治) ▽興國MF國武勇斗(→奈良クラブ)MF宮原勇太(→グールニクザブジェ) ▽飯塚DF藤井葉大(→ファジアーノ岡山) ▽大津MF碇明日麻(→水戸ホーリーホック) ▽宮崎日大DF松下衣舞希(→横浜FC) ▽神村学園FW西丸道人(→ベガルタ仙台) ▽鹿児島城西MF芹生海翔(→藤枝MYFC) 【Jクラブユース】▽北海道コンサドーレ札幌U-18FW出間思努(→北海道コンサドーレ札幌) ▽モンテディオ山形ユースGK上林大誠(→モンテディオ山形)DF千葉虎士(→モンテディオ山形)▽浦和レッドダイヤモンズユースMF早川隼平(→浦和レッドダイヤモンズ)▽ジェフユナイテッド千葉U-18DF谷田壮志朗(→ジェフユナイテッド千葉)▽FC東京U-18MF佐藤龍之介(→FC東京)GK小林将天(→FC東京)▽湘南ベルマーレ...

高校サッカー
{by} koko-soccer
藤枝内定のMF芹生海翔、プロの練習で痛感した守備の重要性。成長を続ける司令塔は鹿児島城西を7年ぶりの選手権出場に導けるか

鹿児島城西のMF芹生は、身体の使い方が上手く、パスセンスも高い司令塔だ。写真:松尾祐希 今年のチームは攻撃陣にタレントが揃う “半端ない”FW大迫勇也(神戸)を擁して選手権で準優勝を果たしてから15年。鹿児島城西が虎視眈々と復権の機会を狙っている。 鹿児島の高校サッカーと言えば――。2000年代の前半までMF遠藤保仁(磐田)やMF松井大輔(YS横浜)らを輩出した鹿児島実がその名を轟かせた。 近年は神村学園が躍進し、昨年度は福田師王(ボルシアMG)やMF大迫塁(C大阪)を擁してベスト4まで勝ち上がったのは記憶に新しい。インターハイは6年連続、冬の選手権も昨年度まで6年連続で出場しており、今季から2種年代最高峰のU-18プレミアリーグ高円宮杯に参戦するまでになっている。 一方で鹿児島城西は前述の通り、2008年度の選手権で日本一にあと一歩まで迫り、以降も神村学園と切磋琢磨し...

高校サッカー
{by} soccerdigestweb
続々と高校年代の選手が夢を掴む 高体連勢から8人、Jクラブユース勢からは29人.... 【加入情報】

9月26日にFC大阪は、イェールメディテック高校(韓国)所属の韓国人GKカン ソングクが2024シーズンより加入することが内定と発表した。 26日までに高体連勢からは8人、Jクラブユース勢からは29人がプロへの切符を獲得(海外チーム含む)。また、街クラブと海外の高校からのプロ内定がそれぞれ1人となっている。 ※2023年9月26日時点 【高体連】▽帝京DF梅木怜(→FC今治)MF横山夢樹(→FC今治) ▽興國MF國武勇斗(→奈良クラブ)MF宮原勇太(→グールニクザブジェ) ▽飯塚DF藤井葉大(→ファジアーノ岡山) ▽大津MF碇明日麻(→水戸ホーリーホック) ▽神村学園FW西丸道人(→ベガルタ仙台) ▽鹿児島城西MF芹生海翔(→藤枝MYFC) 【Jクラブユース】▽北海道コンサドーレ札幌U-18FW出間思努(→北海道コンサドーレ札幌) ▽モンテディオ山形ユースGK上林大誠(→モンテ...

高校サッカー
{by} koko-soccer
きょう新たに6地区で選手権予選が開幕 【第102回全国高校サッカー選手権予選】

9月30日、冬の風物詩・高校サッカー選手権の地区予選、第102回全国高校サッカー選手権予選が岩手、秋田、京都など6地区で新たに開幕を迎える。 今年度の全国高校サッカー選手権の各都道府県の出場校は12月16日もしくは17日(現在未定)に鹿児島代表が決定し、48校が出そろう。なお、今年度の全国大会は12月28日から2024年1月8日にかけて首都圏内の各会場で熱戦が展開される。...

高校サッカー
{by} koko-soccer