厳しさといたわりで古豪を率いた名将・磯貝純一監督
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 全国高校サッカー選手権出場は、武南と同数の最多14度で、優勝回数も埼玉県勢として最も多い4度を数える。そんな古豪の浦和市立高(現・市立浦和)サッカー部を率いた磯貝純一先生が、昨年9月9日に亡くなった。83歳だった。

 

 市立浦和高サッカー部は、1946年(昭和21年)に永田養三監督が立ち上げた。52年からは、東京大学の最強時代に活躍した鈴木駿一郎監督が指揮を執り、オープン攻撃(現在のサイドアタック)を採用。12年間指導し、全国高校選手権と国民体育大会を2度ずつ制し、全国に浦和市立の名を知らしめた。

 

 日本代表では主将も務め、国際Aマッチ63試合に出場。日本リーグで260試合連続出場という大記録を達成した落合弘氏は、鈴木監督の薫陶を受けたひとりである。

 

 三代目の磯貝監督は65年4月に着任し、99年3月まで長きにわたって名門校の指導に当たった。

 

 就任2年目の66年度のチームは、初開催されたインターハイで準優勝すると、第45回全国高校選手権でも3位入賞。2年連続出場した翌年のインターハイでは初優勝を遂げるなど、早々に結果を出した。71年のインターハイで3位に入ると、翌年度の第51回全国高校選手権では藤枝東(静岡)を延長の末2-1で破り、4度目の頂点に立った。横浜マリノスなどで監督を務めたエースFW清水秀彦が決勝点を挙げ、名古屋グランパス監督などを歴任した1学年下の田中孝司がゲームメーカーだった。

 

 磯貝先生は後年、この優勝について「雨でグラウンド状態がひどくてね、テクニシャンぞろいの藤枝東が技術を発揮できなかったんだよ。雨が降っていなかったら、勝てなかったと思う。ツキがあったね」と冗談交じりにこう話した。しかし、初出場したインターハイ決勝では藤枝東に敗れていただけに、負けん気の強い磯貝先生は雪辱を果たし、大いに留飲を下げたことだろう。

 

 この後の埼玉は浦和南が第二期黄金時代を迎え、私学の武南が台頭してきたことで、浦和市立の全国高校選手権出場は縁遠くなる。

 

 浦和南・松本暁司監督、浦和西・仲西駿策監督、武南・大山照人監督、大宮東・中村崇監督らとし烈な覇権争いを展開していた。

 

 11年ぶり11度目の出場を果たしたのが83年度の第62回大会で、首尾よくベスト8に進んだものの、準々決勝では長谷川健太や大榎克己らを擁した清水東(静岡)に0-9という屈辱的な大敗を喫した。

 

 武南がますます力を付けて大宮東との2強時代に入ると、浦和市立にとっては雌伏の時が長くなった。そうしてあの惨敗から13年後、第75回大会にオレンジ色のユニホームが戻って来た。

 

 この大会もベスト8まで勝ち上がり、準々決勝で中村俊輔のいた桐光学園(神奈川)と対戦した。会場は13年前と同じく横浜の三ツ沢球技場。0-1で敗れたが、内容的にはスコア以上の完敗だった。

 

「うちの選手は人が良くて、内弁慶ばかりだからなあ。初めから気持ちで負けていたよね。あれだけ緩急をつけられる桐光学園はすごいけど、うちは全体が引いてしまった。気持ち(の弱さ)が表れてしまった」。

 

 これが全国高校選手権での磯貝先生の最後の試合となり、敗戦の弁でもあった。

 

 この準々決勝を翌日に控えた97年1月4日、学校での練習見学に行くと磯貝先生は軽めに調整した後、練習で使ったボールを一つ一つ丁寧に、黙々とタオルで磨いていた。選手には厳しく向き合ったが、こんなところに人柄とサッカーへの愛情を見た思いがした。

 

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