羽中田新監督「たくさんのことを学ばせてもらった」。逆転勝ちの山梨学院が山梨第1代表として関東大会へ
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[5.13 関東高校大会山梨県予選決勝 山梨学院高 2-1 韮崎高]

 

 令和4年度 第74回山梨県高校総体サッカー競技兼関東大会予選は13日に決勝を行い、山梨学院高が2-1で韮崎高に逆転勝ち。2連覇を達成した。決勝を戦った両校は、5月28日から神奈川県内で開催される関東大会に出場する。

 

 山梨学院は今年3月から指揮を執る羽中田昌新監督の下、まずは1つめのタイトルを獲得。新指揮官は、「苦しい戦いの中で、生徒たちは最後まで粘ってくれたなというのと、今日のこの戦いでたくさんのことを学ばせてもらったなと。これから何をしなければならないかと学ばせてもらった戦いだったな、と感じています」と語った。

 

 体制が代わり、昨年までとは異なる戦い方へのチャレンジを始めたばかり。羽中田監督は「ボールをたくさん触りながらサッカーをやる。選手たちがサッカーを楽しめる、もっとボールに係わって、サッカーマンとして成長できるような方法で何とか勝っていきたいなと思っています」と期待する。4-3-3システムを組み、各選手が相手にとって嫌な立ち位置を取る形でボールを動かして主導権。その一方、後半は連戦による疲労によって思考力が低下し、プレー精度を欠くなど、課題も見える1冠だった。

 

 山梨学院の先発はGK廣瀬大翔(3年)、4バックは右SB高柳亮吾(2年)、CB歳藤稜久(3年)、CB芳野伯(3年)、左SB庄司優作(3年)。中盤は本多弥沙哉(2年)がアンカーに入り、2シャドーがゲーム主将の小棚木蒼大(3年)と10番の野田駿人(3年)、右FW伊藤優作(3年)、左SH五十嵐真翔(2年)、CFに栃尾瞭太(3年)が入った。

 

 一方、名門・韮崎は4-4-2システムでGKが191cmの清水大暉(3年)で4バックは右SB小林恵輔(3年)、主将のCB大野孔之(3年)、CB小林恭輔(3年)、左SB金丸侑司(3年)。中盤は萩原悠翔(3年)と清水蒼士(2年)のダブルボランチで右SH赤池駿(3年)、左SH相澤涼真(3年)、2トップは大森岳(3年)と平井蒼吏(3年)がコンビを組んだ。

 

 その韮崎が開始直後に先制点を奪う。6分、自陣左寄りの位置から金丸が対角の左足FKを蹴り込む。これを平井が競り勝ち、フリーの大森が左足でプッシュ。技術力高い萩原のスルーパスなど、入り良く試合を進めていた韮崎がリードを奪った。

 

 だが、山梨学院は慌てることなく反撃を開始。小棚木と野田がバイタルエリアでボールを引き出してサイド攻撃を繰り出す。また、前から制限を掛ける形でプレッシャー。中盤の底に位置する本多がセカンドボールを回収し、連続攻撃に繋げていた。

 

 その山梨学院は18分、高柳が右サイドからクロス。これを中央へ飛び込んだ五十嵐が頭で合わせて同点に追いつく。畳み掛ける山梨学院は小棚木が空いた中央のスペースを突く形でドリブル。左サイドへ展開すると、五十嵐がラストパスやカットインシュートへ持ち込む。また、最前線の栃尾は、後半も含めて力強い動きで押し込む要因を作り出していた。

 

 だが、韮崎は大野らDF陣が最後まで身体を寄せてシュートコースを限定し、清水が守備範囲広くサポートするなど2点目を許さない。逆に前半30分頃からは韮崎が押し返し、大森の仕掛けなどからCKの本数を増やしていた。

 

 後半、山梨学院がボールを保持して攻めるが、ラスト3分の1のエリアで精度を上げることができない。逆に韮崎は我慢強い守備から縦に鋭い攻撃でゴール前のシーンを創出する。18分には、右コーナー付近で萩原が鮮やかな突破。ゴールエリアへラストパスを送るが、これはGK廣瀬ら山梨学院守備陣がかき出した。

 

 韮崎は飲水後の22分、相澤と大森をFW鷲見バーネット類(3年)と左SH外川翔瑛(3年)へスイッチ。鷲見のポストワークと外川の仕掛けを加えて攻撃のギアを上げた。萩原の中央突破から赤池がチャンスを迎え、28分にはその赤池を俊足右SH倉岡泰輝(3年)へチェンジ。昨年課題になっていた終盤の時間帯に勢いある攻撃を見せた。

 

 だが、韮崎の小泉圭二監督は「(相手の攻撃に対して)よく耐えていたけれど、(山梨学院に)そんなに崩されていないけれどゴール前に持っていかれて、それが入ってしまう。残り3、4分という中でボールを持っていくパワーは本当に改善しなければいけない」と指摘する。後半にボールを受ける回数を増やした野田と巧さ・強さも示す小棚木を中心に攻める山梨学院は、相手にクリアされても、繰り返しアタック。そして37分、相手のクリアを拾った庄司が左足でアーリークロスを入れる。このクリアを伊藤が右足ダイレクトで合わせると、ゴール前の混戦を抜けたボールがネットに吸い込まれた。

 

 羽中田監督が、「(起用理由は)ゾーン3に入ってからのドリブルの力と意外性」と説明する伊藤のゴールで勝ち越し。この後、殊勲の伊藤をFW小尾丞斗(3年)へ入れ替えた山梨学院がそのまま逃げ切り、優勝を果たした。

 

 まだ、新体制がスタートして2か月半ほど。この日は羽中田監督の母校・韮崎相手にゲームをコントロールしていた一方、より多くのチャンスを作られる内容だった。「そういう意味でも学ばせてもらった」と羽中田監督。チームにとっては、タイトルを獲得したとともに、新たな学びを得るゲームとなった。まだまだ上手くいかないことも多いが、選手たちの意欲や変化は、高校サッカーのレジェンドの一人でもある羽中田監督に伝わっているようだ。

 

「選手たちも意欲的にやってくれていますし、自分で考えてプレーする。それがサッカーの一番楽しいところなので、やってくれていると思いますね」。一方の選手たちは「(羽中田監督は)難しいことは言わないので、楽しくやってくれれば、ボールをいっぱい触ってくれれば良いと」(五十嵐)。「個人的にボールを触っているのが楽しいです。まずはインターハイ優勝目指して、選手権も優勝したいと思います」(野田)。

 

 精度に加え、強度、切り替えの速さ、連動性の部分も向上させなければならない。だが、195cmFW吉野柊(3年)や主将のMF宮岡拓海(3年)、高速MF齋藤剛志(3年)ら主力候補を欠く中で優勝。山梨学院は、「山梨県民の人たちに学院のサッカーは面白いな、見ていて楽しいなというふうに思ってもらえるようにしたいですね。山梨県民のより多くの人たちに応援してもらえるチームにしていきたいです」という羽中田監督とともに課題を改善しながら成長を続け、見ていて面白い、そして勝つチームになる。

 

(取材・文 吉田太郎)

 

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