元群馬GK北監督率いる金沢学院大附が初V!石川県内外出身選手の競争、環境面も向上し、悲願の全国初出場
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金沢学院大附高がインターハイ初出場

 

[6.5 インターハイ石川県予選決勝 金沢学院大附高 2-1 遊学館高 金沢市民サッカー場]

 

 令和5年度全国高校総体(インターハイ)「翔び立て若き翼 北海道総体 2023」男子サッカー競技石川県予選決勝5日に行われ、金沢学院大附高と遊学館高が対戦。FW櫻井鳳雅(3年)の2ゴールによって2-1で勝利した金沢学院がインターハイ初出場を決めた。

 

 金沢学院は、準々決勝でインターハイに10大会連続出場中だった星稜高に1-0で勝利。星稜OBでザスパクサツ群馬のGKとして活躍した北一真監督はこう振り返る。「星稜高校さんに勝ったのに、次で負ければ伝統のある星稜高校さんの名に傷がつく。私たちスタッフは全員OBなので、優勝は至上命題だったと思っていた。星稜に勝った時は優勝しなければいけないと思っていました」。

 

「星稜に勝っても、優勝できないと意味がないと思ってやってきました」と続けるのは主将のGK松本晃政(3年)で、タイトルへの想いは気持ちのこもったプレーからも見て取れた。キックオフのボールを素早く前方へと送り、櫻井が放ったシュートで幕を開けた一戦は序盤から金沢学院のペースで進んだ。

 

「うちは競り合いで勝てる力はない。相手が足りない所を付くためにも、足元で繋ぐというのを強みにしています」。松本の言葉通り、左SBのDF葛城涼(3年)とボランチのMF小林和哉(2年)を中心にテンポよくボールを動かし、MF馬越淳史(3年)とMF西田虎汰郎(3年)の突破を引き出すのが、金沢学院の攻撃スタイル。前半10分には右サイドでのロングスローを西田が競って、櫻井が頭で合わすなどチャンスを作っていく。

 

 守備でも綻びを見せない。遊学館は主将のMF大西貫太郎(3年)を中心としたハードワークで奪ったボールを、MF矢口倫道(2年)やFW宮本絆(2年)に入れてきたが、「星稜高校とやってから、CB二人の空中戦が凄く良くなった」と北監督が評するDF久保佑太(3年)とDF北村颯登(3年)のコンビが競り合いで勝利。セカンドボールも中盤が拾って、無失点のまま試合を進めていく。

 

「相手はよく頑張るサッカーなので、相手に負けないぐらいのハードワークをしっかりすることで、前半はチャンスが作れたし、しっかりゼロで抑えられた。前半の良い流れが後半に出た」。松本の言葉通り、1点が奪えなかったものの、歓喜が生まれたのは後半9分。右サイドFW岡山拓未(2年)からのボールをゴール前で受けた櫻井が相手の股下を射抜くシュートを決めた。

 

 追い掛ける展開を強いられた遊学館は、「あと20分ぐらいある中、しんどそうにしている子たちがいたので一気に変えた。あそこがターニングポイントだと思っていた」(岸玲衣監督)と後半15分に3選手を同時に入れ替え。策がハマり、前日にPK戦までもつれた影響で疲れが見えていた攻撃が息を吹き返す。

 

 19分、右サイドからDF森田孝志(3年)が上げたクロスを途中出場のFW中島輝羅(3年)が頭で合わせて、同点に持ち込んだ。さらに24分には左サイドでのロングスローから、森田がシュート。DFに当たったこぼれ球をDF鮫島響(2年)が思い切りよく詰めるなど会場を沸かせたが、27分には前のめりになった隙を金沢学院MF油野瑛斗(2年)のロングボールで突かれ、ピンチに。最後はDFの背後を抜けた櫻井がゴール。そのままタイムアップを迎え、金沢学院が2-1で勝利した。

 

 金沢学院就任8年目の北監督にとっては悲願の全国大会初出場だ。就任当初は「練習を9時からやると言ったら9時に来るような選手もいた」(北監督)チームで、準々決勝まで進むのがやっとだったが、3年目の18年には選手権予選で決勝まで進出。「意外と簡単に(全国へと)行けるかなと思ったけど、その驕りがまだダメだったのか、以降はなかなか決勝まで行けなかった」(北監督)。

 

 だが、今の大学1年生の代から県外出身選手が増加。その効果について北監督はこう口にする。「県内の子は内気なので全国へ行きたいと思っても表現できなかった。これまで選手は全国へ行くというイメージしづらかった中、県外から来てくれた意思と覚悟を持った子たちが(全国への)道筋を作ってくれた」。「(県外生は)練習から必死なので負けてられないという気持ちで県内生もやっている。一日一日の練習が凄く強度の高い良い練習ができているのが良い結果に出た」と続けるのは松本だ。

 

 20年夏には待望の人工芝グラウンドも完成し、選手たちがより成長できる環境が整った。「タレントがいっぱいいたので、全国大会に行って自分たちが見られる景色を変えて欲しいと思っていた」(北監督)今年に初出場を決めたのは必然だったのかもしれない。「(選手権予選で決勝に行って以来)自分の中で時計の針が止まっていたような感じだったのですが、今の選手たちが針を動かして、次に進めてくれた」(北監督)。初タイトルによって、選手たちは自信を掴んでいる。全国でも躍進を果たし、時計の針を更に進めるのが目標だ。

 

(取材・文 森田将義)

 

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